新人行政書士がホームページで最初に書くべき 3 ページ:プロフィール・業務一覧・料金表
Pascaline 編集部
士業DX専門チーム
行政書士として開業し、急いでホームページを作ったものの、「何から書けばいいか分からない」「テンプレで埋めたけれど問い合わせが来ない」という声は本当に多いです。Pascaline の読者からも頻繁に寄せられます。結論から言うと、開業直後のホームページで成果を左右するのは、トップページの見た目ではなく、プロフィール・業務一覧・料金表の 3 ページの中身です。この 3 ページがきちんと書けていないサイトは、どれだけ広告を打っても問い合わせにつながりません。本記事では、この 3 ページをどう設計し、何を書き、何を書かないべきかを、新人行政書士の視点で具体的に解説します。
「最初に書くべき 3 ページ」とは
最初に書くべき 3 ページとは、見込み客がホームページに着地してから問い合わせに至るまでの意思決定を支える 3 つの情報ページ──プロフィール・業務一覧・料金表──を指します。トップページや実績紹介、ブログは後回しで構いません。なぜなら、見込み客は次の 3 つの問いに答えが出ないと問い合わせボタンを押さないからです。
- 「誰が担当するのか?(信頼できる人か)」
- 「何を依頼できるのか?(自分の悩みに対応しているか)」
- 「いくらかかるのか?(予算に合うか)」
この 3 つの問いに答えるのが、順に プロフィール・業務一覧・料金表 の 3 ページです。逆に言えば、この 3 ページさえ整っていれば、トップページが多少素っ気なくても問い合わせは発生します。
なぜこの 3 ページで 8 割が決まるのか
行政書士への依頼は、美容院や飲食店とは購買心理が異なります。多くは「法律が絡んだ厄介事を外注したい」という不安混じりの状態で検索に来ており、信頼と透明性が意思決定の主軸になります。派手なデザインは安心材料にならず、むしろ具体性のある情報が決め手になります。
Google の検索品質評価ガイドラインでも、YMYL(Your Money or Your Life)と呼ばれる分野──健康・金融・法律など人生に重大な影響を与えるテーマ──では、**E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)**が強く評価されることが明記されています。行政書士のサイトは完全に YMYL 領域です。AI 検索(GEO)の文脈でも、明確な出典と定義が引用されやすい構造を持っていることが重要になります。
つまり、この 3 ページは単に「情報を載せる場所」ではなく、E-E-A-T を体現する場なのです。
ページ 1:プロフィール ── 「誰が担当するか」に答える
プロフィールページは、ホームページ全体で最も滞在時間が長くなるページです。問い合わせ前に必ず読まれます。ここで「この人に頼みたい」と思ってもらえなければ、他のページの完成度は無意味になります。
掲載すべき要素(優先度順)
- 顔写真(プロが撮影したもの)
- 氏名・登録番号・事務所名
- 専門分野・得意業務
- 経歴・前職(なぜその分野に詳しいかの根拠)
- 所属団体・単位会
- 顧客への約束・理念(200〜300 字)
- 執筆・講演実績(ある場合のみ)
よくある NG
- 自撮り写真:それだけで選考から外れます。地方都市でも数千円でプロ撮影は依頼できます
- 「何でもできます」表記:専門性がないと受け取られます。むしろ得意分野を 2〜3 に絞る
- 「誠心誠意対応します」だけの理念:どの事務所でも言えることは書かないのと同じ
- 顔写真なし:「何かを隠している」と読まれます
「経験」をどう書くか
新人行政書士がつまずきやすいのが「経験をどう書くか」です。行政書士としての経験はまだ浅くても、前職で培った専門知識は書けます。例えば、
- 元建設会社の経理担当 → 建設業許可の書類作成の勘所を熟知
- 元自治体職員 → 許認可の審査側の視点を持つ
- 元外資系人事 → 外国人ビザ・就労許可に強い
こうした背景は、同業の中堅事務所にはない差別化要素になります。嘘はいけませんが、実体験に裏付けられた強みは遠慮なく書くべきです。
ページ 2:業務一覧 ── 「何を依頼できるか」に答える
業務一覧ページは、見込み客が自分の悩みと事務所の提供業務をマッチングする場所です。羅列ではなく、依頼者視点で整理するのがポイントです。
悪い例:行政書士用語で羅列
・建設業許可
・産廃収集運搬業
・古物商許可
・宅建業免許
・各種契約書作成
この書き方は、既に業務名を知っている人にしか届きません。
良い例:依頼者の状況から入る
建設業を始めたい方へ
─ 建設業許可の新規取得・更新・業種追加
─ 対象:年 500 万円以上の工事を請け負う方
─ 標準対応期間:2〜3 か月
─ 基本料金:110,000 円〜(法定費用別)
依頼者が「自分ごと」として読める見出しから入り、業務名・対象者・期間・料金の概要を 4 点セットで置きます。概要だけで判断できない場合は料金表ページへリンクさせます。
業務を絞ることを恐れない
「業務を絞ると問い合わせが減る」と心配する方がいますが、実際は逆です。絞った方がその分野の検索結果で上位に入りやすくなり、結果として問い合わせが増えます。開業直後は 3〜5 業務に絞るのが現実的です。
業務一覧に置くべき要素のチェックリスト
- 各業務の対象者(誰に向けた業務か)
- 期待できる成果(許可取得、届出完了など)
- 標準的な対応期間
- 基本料金の目安(詳細は料金表ページへ)
- よくある誤解・注意点
- 関連する別業務への内部リンク
ページ 3:料金表 ── 「いくらかかるか」に答える
料金表は、多くの新人行政書士が公開を避けがちなページです。「ケースバイケースだから」「安売り競争に巻き込まれたくない」という理由ですが、これは問い合わせ率を大きく下げる選択です。
なぜ料金を公開すべきか
見込み客は、料金が分からないサイトでは問い合わせボタンを押しません。「問い合わせた瞬間に営業電話が始まるのでは」という警戒が働き、比較対象から外されます。料金の透明性は、それ自体が信頼の表明です。
料金表の構造(3 セクション)
料金表 1 項目は次の 3 セクションで構成します。
- 業務カテゴリ見出し:このカテゴリで扱う業務の範囲を 1 行で宣言
- 基本料金 + 加算要素の内訳:項目・金額・備考の 3 列テーブル
- 含まれるもの / 含まれないもの:期待値ギャップを事前に潰す
「〜円から」の使い方
「○○円から」という表記自体は問題ありません。むしろ、何で加算されるかを明示していれば誠実な表記です。
基本料金 110,000 円から
+ 役員追加 1 名につき 11,000 円
+ 経審対応 +33,000 円
+ 急ぎ対応(2 週間以内納品)+22,000 円
「から」だけ書いて加算条件を書かないと、問い合わせ後に「思ったより高い」と離脱される原因になります。
価格競争を避けたいなら「安くない理由」を書く
相場より高めに設定する場合、料金表の末尾に「当事務所の料金に含まれる価値」として、対応内容・サポート範囲・実績をまとめた 200 字程度の説明を置きます。これだけで「高い」が「内容に見合う」に転換します。
3 ページに共通する設計原則
どのページにも共通して守るべき原則が 3 つあります。
原則 1:1 ページ 1 目的
各ページの目的は次の 1 文に収まるべきです。
- プロフィール → 「この人に依頼したい」と思わせる
- 業務一覧 → 「自分の悩みに対応している」と確信させる
- 料金表 → 「予算の見当がつく」ようにする
目的からずれた情報(例:プロフィールページに業務料金を長々と書く)は、全て削るか別ページに移します。
原則 2:各ページの最後に次の導線を置く
読み終えた読者が次にどこへ行けばいいかを示します。
- プロフィール → 「私が対応する業務を見る」(業務一覧へ)
- 業務一覧 → 「料金の詳細を見る」(料金表へ)
- 料金表 → 「問い合わせる」(フォームへ)
導線がないページは、どれだけ内容が良くても行き止まりになります。
原則 3:更新日を明示する
法令や料金は変わります。ページの末尾に「最終更新:2026 年 4 月」と入れるだけで、情報の鮮度が読者に伝わります。これは Google の品質評価でも高く評価される要素です。
公開後のチェックリスト
3 ページを公開したら、次の項目を順にチェックしてください。
- スマホで表示崩れがないか(問い合わせの 7 割以上はスマホ経由)
- 電話番号・メールアドレスがリンクになっているか(タップで発信・メーラー起動)
- プロフィール写真が重すぎて読み込みが遅くないか(1 枚 200KB 以下目安)
- 各ページの
titleタグに「業務名 + 地域名 + 事務所名」が入っているか - 料金表の数値に誤植がないか(桁の間違いは致命的)
- Google Search Console に登録し、インデックス状況を確認したか
よくある質問(FAQ)
Q. トップページは後回しで本当にいいですか? A. はい。トップページは最終的に各ページへの導線を並べる役割が中心になります。中身となる 3 ページが未完成のままトップを作り込むと、リンク先が空っぽという状態になります。
Q. プロフィールに家族構成や趣味も書いた方が親しみやすいですか? A. 一部は効果的ですが、情報の主軸はあくまで専門性です。趣味は末尾に 1〜2 行程度が上限の目安です。
Q. 料金表を公開すると同業に真似されませんか? A. 真似されても問題ありません。料金だけで勝負している事務所は長続きしません。むしろ「プロフィール × 業務一覧 × 料金表」のセットで信頼を積み上げる方が競争優位になります。
Q. 3 ページはどれから書き始めるべきですか? A. プロフィール → 業務一覧 → 料金表の順です。自分の強みが固まっていないと、業務一覧と料金表のスコープが決まりません。
Q. 公開後にどれくらいで成果が出ますか? A. 広告を併用しない場合、検索経由の問い合わせが来るまでに 3〜6 か月が現実的な目安です。3 ページの質がその後の成長速度を決めます。
まとめ
開業直後のホームページで最優先すべきは、凝ったデザインやブログ記事の量産ではなく、プロフィール・業務一覧・料金表の 3 ページを実務に耐える深さで書き切ることです。この 3 ページは、見込み客が持つ「誰が・何を・いくらで」という 3 つの問いに直接答える場であり、E-E-A-T を体現する場でもあります。テンプレートで埋めた 300 字の薄いページを 10 枚作るより、骨太な 3 ページがあるほうが、問い合わせにも検索評価にも直結します。
Pascaline では、この 3 ページの構造をそのまま運用できるホームページ基盤と、更新を Markdown で完結できるブログ環境を提供しています。「作って終わり」ではなく、「育てながら運用する」ホームページを目指す方は、ぜひ検討してみてください。
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著者について
Pascaline 編集部
士業DX専門チーム
弁護士・行政書士の事務所のデジタル化を専門に支援するチーム。Google Workspace、GAS、Claude Code を活用した業務自動化・ホームページ運用の実践知を発信しています。